更年期障害は漢方が有効!女性にも男性にも効く治療は体質改善?

倦怠感・冷え・発汗・イライラ・精神不安定などは、誰の身にも起こりうる更年期の辛い症状の一部です。

最近では、更年期の症状を改善する策として、治療の一環に、漢方を取り入れている病院も増えてきています。

崩れた体のバランスを戻すことで、体全体を整え、それによって更年期のさまざまな症状を改善するのが漢方の考え方。

ここでは、なぜ漢方が更年期障害に有効なのか、理由や、オススメの漢方薬について詳しくみていきましょう。

崩れたバランスを整える漢方が、更年期障害に効く!?

閉経の前後約10年間におよぶ更年期は、エストロゲンをはじめとする女性ホルモンのバランスが崩れるために、不定愁訴とよばれるさまざまな症状がおこりやすくなっています。

不定愁訴とは、明確な問題がないのに、心身におこる不調のことです。

不定愁訴の症状を改善するには、体全体のバランスを整える漢方が得意といえます。

症状ごとに対症療法を行う西洋医学と違い、体全体の状態を総合的に診断し、崩れたバランスを取り戻そうとするのが漢方医学なのです。

漢方は、ホルモンバランスの急激な変化によって崩れた体の、バランスを調整し、症状を緩和していきます。

どんな人に漢方治療は向いているの?

更年期障害といっても、症状は人それぞれで、軽症の人から重症の人までさまざまです。

日常生活にも支障をきたすような、重度な症状の改善には、不足するホルモンを補充する治療方法がよく取られます。

しかし、人工的にホルモンを補充することにためらいを感じる方や、副作用が気になる方、疾患履歴からホルモン治療を受けることができない方もいます。

そのような人の治療として、最近では、病院でも漢方が処方されるようになりました。

また、軽度な症状の方は、生活の改善や、漢方による体質改善で、多くの症状は緩和を期待できます。

漢方と西洋医学はどう違うの?

西洋医学というのは、今ある症状を改善する対症療法が中心になります。

発汗があれば、発汗を抑える薬、精神的不安定には抗不安剤、頭痛には頭痛薬、ホルモンの分泌不足には、ホルモン補充治療といった具合です。

いっぽう漢方医学では、心身の不調は、体のバランスが崩れることからおこると考えるので、崩れたバランスを元に戻すことが治療の中心になります。

個々に体質と体調に合わせて処方される漢方薬

漢方薬はひとりひとり、患者さんの体質やそのときの調子に合わせて、処方されます。

その点が、現れている症状に対して処方される西洋医学の薬と大きく異なる点です。

例えば、同じ頭痛でも、その原因が血行不良によるものか、水分不足によるものなのか原因はさまざまです。

漢方では、個々の原因と体質に適したものが処方されます。

そして、頭痛の根本原因となっている、体のバランスが乱れていたのを整えることで、手足の冷えや顔のほてりなど、ほかの症状も一緒に改善されるケースもあるのです。

漢方は、体のバランスの崩れている部分に作用し、もともとの健康な体質へ戻すことをします。

そのため、さまざまな症状が根本的に改善されるのです。

男性の更年期障害にも効く?

最近、社会的にも認知されてきた男性の更年期障害にも、漢方は有効です。

女性の更年期障害と同じように、男性更年期障害のもっとも大きな原因は、ホルモンの分泌量の変化により体のバランスが崩れることにあります。

ホルモンバランスの変化は、自律神経の乱れをひきおこし、性的機能の低下だけでなく、やる気がおこらない、疲れが取れない、うつ状態が続くなど精神的な症状も現れるのです。

このような男性の更年期障害の症状にも、体のバランスを整える漢方薬は使われます。

漢方の基本的な考え方

漢方医学においては、体を構成する3つの要素である、気・血・水がバランスを崩すことでさまざまな心身の不調を招くと考えられています。

また漢方では、体質によって、処方される薬は違ってくるため、症状と体質の両方からの診断が必要になってきます。

体を構成する3つの要素

では、体を構成する要素を、漢方の視点でみていきましょう。

気とは、人が活動する上で欠かせない目に見えないエネルギーで、元気、気力、生命力などを指します。

頭痛、のぼせ、めまい、イライラなどは、気の流れが逆流ことでおこると考えられているのです。

また、気の流れが滞ったり、気が不足することでも、疲労感や体のだるさなどさまざまな不調が現れます。

血とは、文字通り、血液および血流のことを指します。

血流が滞ると、手足の冷えや、肩こり、頭痛といった症状をひきおこすのです。

また、血が不足すると、不眠や抜け毛などの症状がでます。

水とは、血以外の体内にある水分を指します。

リンパ液などが、水にあたります。

水は体にはなくてはならないもので、体のさまざまな部分に必要に応じて存在しています。

しかし、ある特定の部分に偏って必要以上に水が留まると、むくみなどの症状をおこします。

大きくふたつに分けられる体質

漢方薬の処方は、たとえ現れている症状が同じであっても、それぞれの患者さんの体質によって変わってきます。

体質に適した薬でないと、体のバランスを整えることができないからです。

体質の分類には、さまざまな方法がありますが、ここでは基本となる「証」の考えで、体力や抵抗力を表す「虚」と「実」についてみてみましょう。

虚証

  • 体力がなく、疲れやすいタイプの人

胃腸が弱い虚弱タイプの人などは、虚証になります。

一般的に、痩せ型で冷えに弱く、皮膚は青白く、下痢になりやすく、静かな人が多い傾向です。

慢性的な症状のため、病気になっても急激な症状が起こるのではなく、比較的穏やかな方が多いといわれています。

実証

  • 体力があって、疲れにくいタイプの人。

一般的にがっしりとした体格で、どちらかといえば赤ら顔、便秘になりやすく、活発な人が多い傾向にあります。

一見、強そうに見えますが、病気になると急激に悪化することもよくみられます。

自分で疲れを感じにくいぶん、無理をしすぎて体を壊すこともあるので、適度な休息を取ることが必要です。

虚実混合証

虚証と実証、両方の特徴を混合して持っている人を、虚実混合証といいます。

今、虚証だったとしても、一生同じというわけではありません。

出産や更年期のタイミングで、実証の人が虚証になったり、仕事や環境の変化で虚実混合証になるケースもあります。

自分の「今」をみつめて、適切な対応が必要といえるでしょう。

3つの要素と証で、対処方法は決まる

更年期の女性や男性の体においては、「気・血・水」のバランスが崩れたり、流れが滞ったりしがちです。

しかし、「気・血・水」のどこに、どのように(逆流か、停滞か、不足か)問題があるかで、処方される漢方薬は変わってきます。

また、虚証か、実証か、虚実混合証なのかによっても、対処方法は変わるのです。

漢方では、その人の体質をみながら、その人本来のバランスを整えるため「これさえ飲めばOK」というわけではありません。

なお、更年期の女性にみられる「気・血・水」の乱れの代表的なものには、以下のようなものがあります。

瘀血(おけつ)

血の流れが滞っている状態です。

頭痛や肩こりという症状が現れます。

虚血(きょけつ)

血液が不足している状態です。

めまい、耳鳴り、無気力、集中力の低下、睡眠障害などが現れます。

気逆(きぎゃく)

気の流れが逆流している状態です。

のぼせ、ほてり、動悸、頭痛などの症状が現れます。

症状別、おすすめの漢方薬

診察して病名を確定し、その病気に対して治療を行うのが西洋医学です。

いっぽう漢方は、ひとりひとりの体質や体調、バランスの崩れている部分を見極めた治療が行われます。

漢方薬の種類は、何百とあるのですが、そのなかから、とくに更年期特有の症状緩和のために処方される代表的な漢方薬を紹介しましょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

虚証タイプで、足の冷え、貧血、疲れやすい、めまい、肩こりの症状がある人向けです。

瘀血(おけつ)を改善するために使用します。

血のめぐりをよくするため、更年期障害だけでなく、女性疾患の治療によく使われる漢方薬です。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

虚実混合証タイプで、イライラなどの精神的症状、ホットフラッシュ、頭痛、肩こりの症状がある人向けです。

女性の更年期障害に、よく処方される代表的な漢方のひとつですね。

桂枝茯苓丸(けいしふくりょうがん)

虚実混合証タイプ〜実証タイプで、足は冷えるのに、のぼせやほてりという症状のある人向けです。

血の巡りが滞っている瘀血(おけつ)状態を、改善します。

皮膚炎の改善にも作用し、吹き出物やシミのケアとしても使われています。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

実証タイプで、便秘がちで、足は冷えるのにのぼせる人向け。

気逆(きぎゃく)をともなった瘀血(おけつ)を改善する漢方です。

肩こり、めまい、腰痛の改善のためにも使われます。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

虚証タイプで、胃腸虚弱な人のための怒りやイライラを抑えるための漢方です。

抑肝散(よくかんさん)とは、高ぶる「肝」を抑えるための漢方で、それにより、怒りやイライラを軽減させます。

もともとは、子どもの疳の虫のための漢方でした。

温清飲(うんせいいん)

虚実混合証タイプで、肌がカサつき、顔色が悪く、のぼせがあり、精神不安や苛立ちを抱えている人向けです。

過多月経などの月経困難や月経痛、生理不順にもよく使用されます。

男性の更年期障害向け漢方薬

八味地黄丸(はちみじおうがん)

虚証〜虚実混合証タイプで、手足のひえ、足腰の疲れ、頻尿などの症状がある人向けです。

加齢による気、血、水が不足した状態を改善し、体を温めることで体のバランスを整えます。

副腎、膀胱、生殖器の働きをよくする漢方として、中年以降の更年期の症状の緩和によく用いられます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

虚実混合証〜実証タイプで、神経過敏、高血圧に伴う不眠や動悸、イライラといった症状がある方向けです。

滞っている気を巡らせ、体にこもってしまった熱を冷ます作用があります。

また心を落ち着かせる働きもあり、脳の興奮からひきおこされる不眠にも働きます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

虚証タイプで、胃腸が弱く、ストレスに弱く、疲れやすい人向け。

気力や食欲の低下、慢性的な疲労感など、気の不足からおこる症状を緩和します。

胃腸の働きを高めることで、内側から気を増やし、気を全体に巡らせることで、疲労回復を促します。

漢方にも副作用はある?

漢方薬は、自然由来のもので作られているため、副作用がないと考えている人も多いかもしれません。

しかし、それは間違いです。

漢方薬も医薬品であり、間違った服用は、副作用につながります。

その人の「証」と症状に合ったものが、処方されなければ、効果が上がらないばかりか、副作用をおこすこともあるのです。
また、摂取量や、摂取する期間にも注意が必要。

最初は、医師や漢方医の診断を受け、処方してもらうのが安心です。

薬によっては、服用期間中、定期的に血液検査などを受ける必要があるものもあります。

病院と漢方薬局、どちらがいい?

最近では、更年期障害の治療として、漢方を導入している病院も増えています。

そのような病院と漢方医や漢方専門薬局とでは、どちらを選べばいいのでしょうか?

病院で漢方を処方してもらうメリット

病院で漢方を処方してもらうことのメリットは、保険が適用されることです。

また、数値として明確に結果がわかるような検査は、西洋医学の得意分野です。

検査の数値を元に、西洋医学と漢方の両方からのアプローチが取られます。

ただし、病院で保険適用内で処方される漢方は、種類が限られているというデメリットもあります。

漢方医や漢方専門薬局で診てもらうメリット

漢方医や漢方専門薬局では、より専門的に漢方医学の観点から、その人の体質に合った漢方薬を処方することができます。

また、漢方薬の処方のみならず、体質に合わせた食生活についてや生活習慣の改善のアドバイスをもらえます。

ただし、保険を使えないというデメリットがあります。

根本的に体質を整えて、更年期を乗り切ろう

漢方は、体の崩れたバランスを整え、その人本来の体質に戻してあげることで、更年期のさまざまな辛い症状の緩和をサポートするものです。

女性はもちろん、男性の更年期の治療のひとつして、最近では、病院でも処方されることが増えてきました。

ドラッグストアでも、簡単に入手できるものもありますが、本来、漢方は、患者さんの体力や、体質、バランスの崩れの原因に合わせて処方されるもの。

間違った薬を選ぶと、効果が現れないばかりか、副作用を引き起こす心配もあります。
最初は、保険が適用される医師の診断を受けて処方してもらうのが安心です。

保険は適用されませんが、漢方の効果を得たい人には、漢方医や漢方専門薬局に相談するとよいでしょう。

漢方は対症療法とは違い、体全体のバランスを整え、根本的に体質を改善してくれます。

誰しも、加齢による、体力の低下や体の機能低下は避けられないものですが、体のバランスを整えることで、更年期の症状をある程度軽減することは可能です。

根本的に体質を整えることで、更年期をできるだけ明るく、楽しく乗り切っていきましょう。